特殊化、一般化(Specialization, Generalization) 例題1



特殊化、一般化(Specialization, Generalization)...
具体的に考えることと、広く抽象的に考えることを学びます。

(例題)
(1)正5角形の一つの内角の角度は何度でしょうか。
(2) \(n\) を3以上の整数とします。正 \(n\) 角形の一つの内角の角度は何度でしょうか。
(3) (2)の答えの式から、正10000角形の一つの内角の角度は何度か求めてください。

(考え方)
(1)を考えるために、まず図形を描いてみます。今回の主題ではありませんが、図形問題は「きちんと図を描いて適切な補助線を引いて考える」ことが解決の糸口となりやすいです。この例題では、正5角形の重心Gをとってそこから各頂点へ線分を引いて解くことにします。線分を引くことで、正5角形の中に合同な二等辺三角形が5個できます。
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そのうち一つの二等辺三角形を取り出し、その頂角を \(\alpha_{5}\)とすると
\begin{align*} \alpha_{5} = 360^\circ \div 5 = 72^\circ \end{align*} であるから
\begin{align*} \text{(一つの内角の角度)} &= \text{(水色の丸二つ分の角度)} \\ &= 180^\circ - \alpha_{5} \\ &= 180^\circ - 72^\circ \\ &= 108^\circ \end{align*} よって(1)の答えは \(108\) 度となります。
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(1)では正5角形を考えましたが、同様に正6角形や正7角形、また正3角形や正4角形(正方形)の一つの内角の角度も考えることが出来そうです。そこで、(2)ではより一般化して正 \(n\) 角形を考えてみましょう。 正 \(n\) 角形を考えるので、(1)のように全体像を図示することは出来ません。しかし、同じ解き方が出来そうです。 そこで、正 \(n\) 角形の重心Gから各頂点へ線分を引き、 \(n\) 個の合同な二等辺三角形を作ります。
そのうち一つの二等辺三角形を取り出し、その頂角を \(\alpha_{n}\)とすると
\begin{align*} \alpha_{n} = 360^\circ \div n = \frac{360^\circ}{n} \end{align*} であるから
\begin{align*} \text{(一つの内角の角度)} &= \text{(水色の丸二つ分の角度)} \\ &= 180^\circ - \alpha_{n} \\ &= 180^\circ - \frac{360^\circ}{n} \\ (&= \Bigl(1 - \frac{2}{n} \Bigr) \times 180^\circ ) \end{align*} よって(2)の答えは \( \bigl(180 - \frac{360}{n} \bigr) \) 度となります。
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(3)は(2)で得られた「一般化された式」に \(n=10000\) を代入して特殊化することで答えを出します。 \begin{align*} \text{(一つの内角の角度)} &= 180^\circ - \frac{360^\circ}{10000} \\ &= 180^\circ - 0.036^\circ \\ &= 179.964^\circ \end{align*} よって(3)の答えは \(179.964\) 度となります。



※もしも(2)で \(n\) 角形の内角の和が
\begin{align*} (n-2) \times 180^\circ \end{align*} で表されることを知っている方は
\begin{align*} \text{(一つの内角の角度)} &= ((n-2) \times 180^\circ) \div n \\ &= \Bigl(1 - \frac{2}{n} \Bigr) \times 180^\circ \end{align*} という解き方でも正解です。

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