変数を減らす(Fewer variables)... 変数が一個の時は考え易いですが、変数が二個以上になると、途端に複雑になり、考えづらくなります。ここでは変数を減らす効果とその方法について研究します。 (例題) ある文房具屋でAとBは買い物をしました。Aは鉛筆2本と消しゴム1個を買い、合計で140円かかりました。Bは鉛筆5本と消しゴム3個を買って、合計400円かかりました。鉛筆1本の値段と消しゴム1個の値段を求めてください。 (考え方) この問題を式に整理すると (鉛筆1本の値段) \(\times 2\) 個 \(+\) (消しゴム1個の値段) \(\times 1\) 個 \(= 140\) 円 ... (1) (鉛筆1本の値段) \(\times 5\) 個 \(+\) (消しゴム1個の値段) \(\times 3\) 個 \(= 400\) 円 ... (2) となります。この問題では、鉛筆1本の値段と消しゴム1個の値段という二つの値がわかりません。もし上の式が、 (鉛筆1本の値段) \(\times 2\) 個 \(= ***\) 円 もしくは (消しゴム1個の値段) \(\times 3\) 個 \(= $$$\) 円 という形であれば、答えは直ちにわかります。なので、工夫することで問題を自分がわかる形へ帰着させます。今回は、その一つの工夫の手段として、『変数を減らす』ことをします。 ここで、買った消しゴムの個数に着目します。Bが消しゴムを3個買っているので、Aが鉛筆6本と消しゴム3個を買ったとします。すると、合計金額は元の3倍かかります。 \((\) (鉛筆1本の値段) \(\times 2\) 個 \(+\) (消しゴム1個の値段) \(\times 1\) 個 \() \times 3= 140 \times 3 \) 円 (鉛筆1本の値段) \(\times 6\) 個 \(+\) (消しゴム1個の値段) \(\times 3\) 個 \(= 420\) 円 ... (1' ) ここで (2)式と (1' )式を比べると、鉛筆を1本多く買っている分だけ合計金額が20円高くなっていることがわかります。つまり、 (鉛筆1本の値段) \( = 20\) 円 であることがわかります。あとは(1)式から \(20\) 円 \(\times 2\) 個 \(+\) (消しゴム1個の値段) \(\times 1\) 個 \(= 140\) 円 (消しゴム1個の値段) \( = 100\) 円 であることがわかります。 ※もちろん連立方程式がわかる方なら、鉛筆1本の値段を \(x\) 、消しゴム1個の値段を \(y\) として \begin{equation*} \begin{cases} 2x + y = 140 \\ 5x + 3y =400 \end{cases} \end{equation*} という連立方程式を解いても同じ解を得ます。ただし、そのときに加減法か代入法のいずれを用いても、結局は \(x\) か \(y\) のどちらかの『変数を減らす』ことで解を導いていることに注意しましょう。根本には同じ方針が貫かれているのです。 |