実験の作法



実験の目的は現象の因果関係を調べることです。 実験をする際に大切な事は 変化させる条件は一つにする 、ということです。 変化させる条件が二つ以上あると、何が原因で対象の現象が起きたかがわかりません。

例えば、次のような実験を考えます。(以下の実験の結果の数字は出鱈目です。)

製氷皿で氷を2個作り、氷A、氷Bと名付けて、それぞれ次の操作をします。

( A )日なたに置く
( B )サラダ油を塗って日陰に置く

氷が溶けて水になるまでにかかった時間 サラダ油 置いた場所
A 4分 塗らない 日なた
B 6分 塗る 日陰

このデータから何が読み取れるでしょうか。

答えを先に言ってしまうと「何が原因で(A)の方が溶けやすく(B)の方が溶けにくくなったのか断定できない」という結論しか得られません。

なぜなら二つの氷の条件が『違いすぎる』からです。氷Aはサラダを塗らずに日なたに置き、氷Bはサラダ油を塗って日陰に置くことで上の表の結果を得ました。サラダ油を塗るかもしくは塗らないか、置く場所は日陰か日なたか、という二つの要因を一度に変えてしまったのです。

これではサラダ油を塗ったから氷が溶けにくくなったのか、それとも氷を日陰においたから溶けにくくなったのかわかりません。

ではこの問題を解決するために氷をもう一つ作って氷Cと名付けます。これを

( C )日陰に置く

という操作をして以下の結果を得たとします。

氷が溶けて水になるまでにかかった時間 サラダ油 置いた場所
A 4分 塗らない 日なた
B 6分 塗る 日陰
C 6分 塗らない 日陰

(A)と(C)からは「氷を日なたに置くと早く溶ける」という結論が得られ、(B)と(C)からは「氷にサラダ油を塗っても溶ける時間に影響しない」という結論が得られます。

繰り返しになりますが、(A)と(B)だけからでは何が原因で(A)の方が溶けやすく(B)の方が溶けにくくなったのか断定はできません。現象の結果を変える可能性のある要因を一度にすべて変えて調べるのではなく、一つずつ変えて調べないといけないのです。


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