古事記

その2

スサノオの冒険

         

高天原へ行くスサノオ

海原を治めるように命じられたスサノオは、海原を治めることなく泣いてばかりいた。父イザナギはその理由を尋ねるが、スサノオから「亡き母の国に行きたくて泣いている」という答えが返ってくる。この答えはイザナギの怒りにふれ、スサノオは追放されてしまう。スサノオは、そのことを姉のアマテラスに報告するために高天原へ向かうが、アマテラスは弟が自分の国を奪いにきたと勘違いする。スサノオは、自分に邪念がないことを証明するために天の安河(あめのやすかわ)という川で、アマテラスと『うけい』(占いの一種)をする。

高天原から追放されるスサノオ

『うけい』の結果スサノオは、自分に邪な気持ちはないから自分の勝ちだと言い張り、勝った勢いで次々といたずらをはたらく。初めアマテラスはスサノオのいたずらを大目に見ていたが、 いたずらはますます悪質化していき、ついに怖ろしくなって天石屋戸(あめのいわやど)という洞窟に閉じこもってしまう。 高天原と葦原中国は暗闇に包まれ、残された神々はアマテラスを天石屋戸から引き出すための策を練る。 アメノウズメが裸踊りをし、それを見た高天原の神々はどっと盛り上がる。天石屋戸の中に引きこもっているアマテラスは外の音を不審に思い、戸を少し開ける。神々は「あなたより貴い方がお越しなのですよ。」という誘い文句に加えて、用意しておいた鏡をアマテラスに見せる。さらに不審に思ったアマテラスは戸の外に身を乗り出す。 その瞬間アメノタヂカラオがアマテラスを戸の外へ引っ張り出す。 アマテラスが外に戻ってきたおかげで高天原と葦原中国に光が戻り、その後神々の合議の末スサノオは高天原から追放される。

オオゲツヒメとスサノオ

スサノオは、オオゲツヒメに食べ物を頼む。オオゲツヒメは鼻や口、尻から食べ物を取り出し調理してスサノオに差し出す。その様子を見ていたスサノオは、汚いものを出されたと思い、オオゲツヒメを殺してしまう。死んだオオゲツヒメの目から稲,頭から蚕、耳から粟、鼻から小豆、陰部からは麦、尻からは大豆が生まれる。 別天神のうちの一柱であるカミムスヒはこれを取って種とした。

スサノオのヤマタノオロチ退治

高天原を追放されたスサノオは、出雲国へ降り立つ。 川から箸が流れてきたので上流に行き、人を探す。 すると泣いている老夫婦と若い娘に出会う。 泣いている理由を尋ねると、ヤマタノオロチという怪物が娘を食べにくるからという。元々この老夫婦には八人の娘がいたが、ヤマタノオロチに毎年一人ずつ食べられてしまっていた。 ヤマタノオロチは一つの身に八つの頭、八つの尾があり、目はホオズキのように赤く、谷八つ、丘八つに渡る長さを持つ怪物だという。 このままでは老夫婦の最後の娘であるクシナダヒメは、怪物に食い殺されてしまう。 スサノオはクシナダヒメを妻にくれないかと申し出て、自分がアマテラスの弟であることを明かす。 老夫婦は二人の結婚を承諾し、スサノオはクシナダヒメを一旦櫛に変えて頭にさす。 スサノオは、老夫婦に強い酒をこしらえ、家の回りに垣根を作り、そこにつけた八つの門に酒の樽を置いておくように指示する。 やがてヤマタノオロチがやってくる。門の前に来たオロチは、酒樽を見つけ、そこに頭を突っ込んで酒を飲んだ。 酒に酔いつぶれたオロチは眠ってしまう。スサノオはそこに剣を持って斬りかかる。 オロチの八つの頭と八つの尾が切り裂かれ、スサノオは退治に成功する。 尾の一つを切ってみると、スサノオの剣が欠ける。 そこを割いて中のものを取り出すと、それは神々しい剣がであった。 スサノオはそれをアマテラスに献上し、自身は須賀(すが)の地へたどり着き、宮を建てる。「この地へ来ると、わが心は清々しくなった。」 と言って、空にわき立つ雲を見て,歌を詠んだ。


八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を
(やくもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)


この歌は日本最初の和歌となる。

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